京都府北部を走る京都丹後鉄道の観光列車「丹後くろまつ号」が人気だ。車内で食事を楽しみながら旅ができる予約制のレストラン列車で、週末のみ運行。デザインは数多くの列車を手掛けた工業デザイナー・水戸岡鋭治氏によるもので、天然木をふんだんに使った車内はクラシカルで落ち着いた雰囲気。外装も漆黒の車体にゴールドのラインが光り、高級感が漂う。運行コースは「モーニング」「ランチ」「スイーツ」の3種類があり、ランチコースは天橋立駅・西舞鶴駅間を走行する。
出発駅となる天橋立駅の近くには、日本三景の一つ、天橋立がある。大自然が作り出した全長3.6キロの細長い砂州に、約5000本の松の木が茂る神秘的な景観だ。9月23日まで開催されているのが「天橋立まち灯り」。19時から22時30分までの間、砂浜や松並木がライトアップされ、幻想的な光景が楽しめる。
天橋立に隣接する智恩寺は、日本三文殊の一つとして知られる。巨大な三門は江戸時代中期に再建されたもので、足かけ7年におよぶ工事は、延べ8780人の大工を要したという。境内には歴史的建造物が多く、国の重要文化財に指定された多宝塔や、元は湯船だったという手水舎の「鉄湯舟」、航海安全のために建てられた江戸時代の「智恵の輪燈籠」など、見どころが多い。
「丹後くろまつ号」に乗り、1時間45分で終点の西舞鶴駅に到着する。そこから舞鶴線と小浜線で松尾寺(まつのおでら)駅に行くと「丹後のもみじ寺」と称される金剛院がある。寺伝では829年、平城天皇の第三皇子・高岳親王によって開山。武将・細川幽斎の作庭と伝わる庭園「鶴亀の庭」や、白河天皇が建立した三重塔など、由緒ある歴史を持つ。
金剛院から15キロほど北の多禰(たね)山中腹にある多禰寺は、金剛院の住職が兼任する寺。飛鳥時代に起源を持ち、本尊は薬師如来坐像で、目と耳に御利益のある仏様として親しまれている。数多くの寺宝を安置する宝物殿は、事前に予約すれば拝観できる(500円)。
製作著作:KBS京都 / BS11
【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「丹後観光列車で行く奥京都の旅~天橋立から舞鶴へ 伝説の地を巡る~」
2025年8月11日(月・祝) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送