ここからしか見えない京都
  

八回目「今年、オススメの場所」

皆さま、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

京都を舞台にした小説を書いていると、「京都でオススメの場所を教えてください」という質問を受けることがあります。
前々回の記事で、好きな社寺を問われると困ってしまうと書きましたが、それと同じくらい返答に迷ってしまう質問です。
京都にはたくさんの観光スポットや名物があり、さらに同じ場所でも季節によって印象が変わってきたりします。人それぞれ好みもあるでしょう。
各出版社が刊行しているガイドブックを眺めていると、とても行き届いていますので、情報をもとに、気になったところに行くのが一番ではないか、と思う気持ちもあるのですが、そういうことではないのでしょうね。
世間に溢れる情報は既に入手していて、その上で、「あなたのオススメを教えてください」ということなのでしょう。
分かりました。
この場を借りて、私のオススメを挙げてみたいと思います。
前述のとおり、京都は季節などによっても見どころが変わってきます。
ですので、今回は『今年の京都の一推し』をお伝えします。
そしてこれは、完全なる私の好みなので、あらかじめご了承ください。

本年のオススメ。
それは、『鞍馬寺』です。

鞍馬寺

知らない人は少ないのではというほど有名で、古くから信仰の対象であり、近年はパワースポットと人気が高いお寺です。ただし、中心部から少し遠いので、実際に訪れた人は少ないかもしれません。
御本尊は、月霊の精霊・千手観世菩薩(愛)、太陽の精霊・毘沙門天王(光)、大地の精霊・護法魔王尊(力)、こちらの三身を一体として『尊天』とし、宇宙と大地のエネルギーを指すそうです。(公式サイト参考)
以前、たまたま目にした雑誌で日本のパワースポットランキングという特集がありました。
どうやってパワーを測るのか分かりませんが、3位が厳島神社、2位が富士山、そして1位が鞍馬山だったんです。
あくまでその雑誌の情報ですが、実際に訪れてみるとそれも納得させられるほど、鞍馬山、そして鞍馬寺には強いエネルギーが降り注がれているように思えます。

私自身、鞍馬寺で不思議な体験をしたことがあります。
それは、初めて鞍馬寺を訪れた時のことでした。
本殿金堂の前に最大のパワースポットと呼ばれる、六芒星の形をした『金剛床』があります。

本殿金堂前の金剛床

鞍馬寺を訪れる多くの人たちは、六芒星の中心に立ち、合掌したり、空を仰いだりして、パワーを受け取ろうとしていました。
私も楽しみにしながら、あの中に入ることで本気で何かが起こるとは思ってはおらず、今後、何か良いことがあるといいな、といった軽い感覚でした。
六芒星の中に入った瞬間です。
右手の中指から二の腕にかけて、ビリッと痺れが走ったんです。
うわっ、とビックリして後退りしたほど。静電気とはまた違う、初めての感覚でした。
きっと夫に言ったら、「どうせ思い込みから、そんな感じがしたんやろ」と笑われるだろうから、その時は自分の胸に留めておきました。
(しかしその感覚が忘れられず、著作『京都寺町三条のホームズ1巻』にも書いていたり)
ですが、あれから、何度か鞍馬寺を訪れていますが、同じようにはなりません。
たまたまパワーが強い時だったのか、はたまた初めての強いパワーに驚いたのか、自分の思い込みが起こしたものなのか分かりませんが、それでも、鞍馬寺の凄さを感じるのに十分な出来事でした。

そんな鞍馬寺、寅年の今年はさらにオススメです。
鞍馬寺は、狛犬ではなく、「あうんの虎」と呼ばれる狛虎が鎮座しています。

あうんの虎(阿形)

御本尊の一柱である毘沙門天王が、寅の年、寅の月、寅の日、寅の刻に出現したといわれているそうで、鞍馬寺は虎を大切にしているそうです。
今年は『壬寅』の年です。『壬寅』は、厳しい冬を乗り越え、春の息吹の中、誕生していくという暗示があるとか。コロナ禍に見舞われたここ数年はすべての人にとって厳しい冬のような日々ではないかと思います。
今年はようやく、そんな冬が終わって、春が訪れてほしいものですね。
そんな時だからこそ、鞍馬寺を詣って、今年一年をがんばるパワーを受け取ってもらいたいと思うのです。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年最初の刊行は、1月13日。
旋律~君と出逢えた奇跡~(双葉社)です。
あらためてよろしくお願いいたします。

旋律~君と出逢えた奇跡~(双葉社)

画像素材:PIXTA

この記事を書いた人
望月麻衣
 
京都在住の道産子。もの書き。 『京都寺町三条のホームズ』(双葉社)『わが家は祇園(まち)の拝み屋さん』(KADOKAWA)『京洛の森のアリス』(文藝春秋)『太秦荘ダイアリー』(双葉社)など書籍発売中。  
 

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