ここからしか見えない京都
  

二十七回目「望月麻衣が案内する王道京都観光 後編」

望月麻衣が案内する王道京都観光後編です。前編はこちらをご覧ください。

前編 ⇒ 二十六回目「望月麻衣が案内する王道京都観光」

さて、京都は修学旅行以来という友人姉妹が関東から遊びに来ることになり、リクエストを加味しつつ、効率良く京都の王道観光地を案内したいと、

①京都駅→②嵐山→③金閣寺とまわった私たち。

金閣寺の次は、北大路通を東へと走り、
『下鴨神社』へ行きました。

いわずもなが、上賀茂神社と対をなす葵祭で知られた賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)です。

「なんだか、綺麗で華やかな神社だね〜」
「うん、可愛い」

と、境内を見回して言う友人姉妹。
そう、下鴨神社は主に女神様が祀られているせいか、境内は明るく華やかな雰囲気に包まれています。
摂社に美麗のご利益がある『河合神社』も。
本殿を参拝したあとは、境内を流れる御手洗川を望む摂社、『御手洗社』へ。

画像素材:PIXTA

ここ『御手洗社』は瀬織津姫(せおりつひめ)様が祀られています。
瀬織津姫様は、罪や穢れを流してくれる水の女神様。
もう、穢れまくっているでろう私たちは、しっかりここで参拝しました。
なんと、ここには、瀬織津姫様の顔出しパネルなども設置してます。
こちらは私が京都に住んでしばらく経ってから設置されたもので、私はそこに顔を入れたことがなかったのですが、

「わー、顔出しパネルがある!」
「写真撮ろう!」

と、友人姉妹はノリノリで顔を入れて写真を撮っていました。

そうか、これが観光客(よそ者)の真のあるべき姿か!と密かに衝撃を受けた私。
というのも、私は京都生活を続けながら、『よそ者』目線を大切に京都のことを書かせてもらってきました。
よそ者だから、客観的かつ、新鮮な眼差しで京都を見て、伝えることができる。
もし、このまま京都に骨を埋めることになろうとも、自分は生涯『よそ者京都人』でありたいと思っていたのです。

しかし、いつの間にか、チョロチョロと根が生えてきてしまっていまして。
祇園祭は混むからテレビでいいかなぁ、などと思ってしまったり、自分が住んだ後に設置されたパネルに顔を入れなかったり。

これではいけない。
京都に来て間もない頃、晴明神社へ行った時は安倍晴明の顔出しパネルに顔を入れていたというのに。まだまだ、よそ者感覚を大切にしなければ……
と、少しだけ反省した私。(少しだけ)

さて、ここではおみくじを水につけて占う『水占い』ができます。
もちろん、私たちも楽しみました。

その後は下鴨神社を出て、東山へ。
経路は、下鴨本通→今出川通→東大路通。
高台寺近くの駐車場で車を停めて、そこから二年坂、三年坂(産寧坂)を歩きます。

画像素材:PIXTA

ここは本当に『THE 京都』という雰囲気。
歩いているだけで楽しく(繁忙期は歩くのも困難ですが)、
友人姉妹も「あれ、可愛い」「あれ、美味しそう」と愉しげです。

そうして歩いていると、清水寺の楼門が見えてきます。

画像素材:PIXTA

順路に沿って参拝し、清水の舞台を堪能しました。

その後は、八坂神社へ。
ここは、地元の人に「祇園さん」の愛称で知られる京都の代表的な神社です。

画像素材:PIXTA

本殿を参拝し終えた頃は、陽が傾いた夕方。
たくさん歩いた私たちは、お腹すいたね、と話しながら、八坂神社の境内を出ました。
そのまま四条通を東へ向かって歩き、花見小路などを見つつ、お店へ。

画像素材:PIXTA

旅行で大切なものの一つに食事が含まれていると私は思っています。
ですので、私との京都観光の締めくくりである夕食には満足してもらいたい。
今回、私が選んだお店は、友人姉妹のお姉さんの方が、坂本龍馬が大ファンということで、『鳥彌三』に決めました。

『鳥彌三』は、水炊きの名店です。
創業は江戸時代で、建物は登録有形文化財。
このお店の水炊きは、鶏ガラだけを三日間強火で炊き込んでいる白いスープと、具材の鶏肉は「丹波のぢどり」と「名古屋コーチン」で作られています。
坂本龍馬が愛したことで知られていて、今は歌舞伎役者さんも多く訪れているとか。

私はこのお店に初めてきたのは、京都寺町三条のホームズのアニメ放送した年の冬でした。
自分へのご褒美と感謝をこめて、ここで家族忘年会を開いたんです。
噂にたがわぬ美味しさに本当に感動したんですよね。
きっと友人姉妹も喜んでくれるはず!

と、私たちは南座の前を通りすぎ、

画像素材:PIXTA

「こちらが等間隔に座るカップルで知られる四条大橋です」
と、賀茂川に架かる四条大橋を渡りながら、

「あれって、もしかして、川床!?」
と、友人姉妹。
当時まだ9月だったので納涼床が出ていたんですよね。

「そうそう、床は基本的に5月から9月までやってるんだよ〜」
(今年は10月までやっていたとか)
「わあ、素敵だねぇ」
「一度ああいうところで食べてみたい!」

そんな話をしながら、到着した『鳥彌三』。

なんと、床席でして、
(またまた予約が取れました)

「素敵ー!!!!」

と、二人は大喜び。

賀茂川を眺めながら乾杯し、名店の水炊きに舌鼓みをうちながら、あらためて、再会できた喜びと、今日一日の京都観光を振り返って、大いに盛り上がりました。

そんなわけで、望月麻衣が案内する王道京都観光は、
①京都駅→②嵐山→③金閣寺→④下鴨神社→⑤清水寺→⑥八坂神社→⑦祇園で食事
でした。

こちらは友人のリクエストを加味したもので、
時間がもっとあれば、嵐山と金閣寺の間には、仁和寺や龍安寺もありますし、
金閣寺と下鴨神社の間には、大徳寺と今宮神社もあります。
そして、下鴨神社と清水寺の間には、ここに書ききれないくらいありますね。

ですが、1日で結構効率良く回れたと思っています。
(ちなみにスマホの万歩計を確認すると2万歩以上歩いていました)

さて、友人姉妹、2日目は、
午前中に伏見稲荷大社や寺田屋と伏見周辺をまわったあと、
午後から二条城へ行き、御金神社を詣ったそうです。
(二条城へ行くなら、近くに金運の神社があるよ、と勧めまして)
3日目は、朝一番に鈴虫寺へ行き、ありがたくも面白い説法を聞き、たった一つだけ願いごとを叶えてくれるという『幸福守』を受け、帰りにまた嵐山へ寄ったとか(元気)。
そして京都駅でお土産をたくさん買って帰ったそうです。

これから、京都旅行を考えている方へ少しでも参考になれば嬉しいです。

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この記事を書いた人
望月麻衣
 
京都在住の道産子。もの書き。 『京都寺町三条のホームズ』(双葉社)『わが家は祇園(まち)の拝み屋さん』(KADOKAWA)『京洛の森のアリス』(文藝春秋)『太秦荘ダイアリー』(双葉社)など書籍発売中。  
 

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