ここからしか見えない京都
  

千年前の優美な御仏の姿に魅了される

緑はいっそう深くなり、セミの鳴き声や鳥のさえずりでにぎやかな夏の京都。盆地ならではのむし暑さから少し逃れて、静寂に包まれた里山の寺をめぐってみたい。

三重から奈良、京都へと流れ込む木津川沿いには、国宝の仏像を安置する名刹が点在する。京都府の最南端の町、木津川市にある浄瑠璃寺は、深い森を背負うように極楽浄土を表現した庭園が広がる。梵字の阿字をかたどった宝池の東に本尊・薬師如来像(毎月8日の好天のみ公開)を安置した三重塔、西には9体の阿弥陀如来坐像を配した本堂が建ち、平安時代創建時のままの姿が残されている。また日本屈指の美しさとたたえられる吉祥天女像も有名だが、こちらは正月と春秋の特別開帳の時だけ拝顔できる。

極楽世界を庭園に現したという浄瑠璃寺

そして同じ市内の山城町には、今昔物語集の「蟹の恩返し」で知られる蟹満寺がある。本堂や境内にはカニをモチーフにした紋様などが見られ、色々な所でカニ探しをするのが楽しい。本堂の中央に鎮座するのは国宝の釈迦如来坐像で、白鳳時代に造立されたと伝わる。

厳かな雰囲気を漂わせる釈迦如来坐像

さらに木津川の支流、普賢寺川が流れる京田辺市には、古寺の趣の大御堂観音寺がある。隆盛を誇ったころは33もの伽藍が立ち並ぶ寺勢を誇っていたという。本尊は国宝の十一面観音。天平彫刻らしく、きりりと整った精悍な顔立ちと、肉付きがよく、それでいてすっきりと締まった体躯はずっと見ていたくなるほど幻想的で美しい。

仏像ファンにも人気の高い美しい十一面観音像

里山に囲まれた名刹、古刹。ひと味違う京都の楽しみ方だ。

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「京都・南山城の国宝~仏像ソムリエと訪ねる里山の3か寺」
2021年6月21日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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旅行読売出版社 メディアプロモーション部
 
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