ここからしか見えない京都
  
©KBS京都/TOKYO MX/BS11

多彩に楽しむ京の香り

香りの老舗と“にほひ袋”専門店

仏教の伝来とともに日本にやってきたとされるお香は、時代を経る中で教養や娯楽などの文化として開花し、また茶道にも深く関わってきました。今回、常盤貴子さんを“香りの旅”に案内するのは表千家茶道家・千葉吉美(ちば よしみ)さん。千葉さん御用達の店をたずね、新たな香りの世界を巡ります。

京都御苑の南、烏丸通に面した「香老舗 松栄堂(こうろうほ しょうえいどう)」は、創業300年を超えるお香の老舗。宗教用の薫香からルームフレグランス用まで、お香を中心に、香りにまつわるあらゆるものを扱っています。お香の原料として使用されるのは、香木や樹脂、葉、貝などの天然香料で、入手困難なものも少なくありません。これらの素材を複雑に調合してつくられる松栄堂の香りは、現在200種類以上。香りのレシピは門外不出で、各香料の配合を記した調合帳が代々受け継がれています。常盤さんと千葉さんはこちらで聞香(もんこう)を体験しました。使う香木は沈香(じんこう)で、正式名は沈水香木(じんすいこうぼく)。「水に沈む、香りのする木」という意味で、原産地はインドシナ半島やインドネシアなどの熱帯雨林。さまざまな要因によって樹脂が木質部分に凝結し、樹木が枯れていくなかで熟成されたものです。今回は2種類の沈香を鑑賞したお二人。それぞれの香りの個性を感じたまま、言葉で表現します。松栄堂では2018年に香りのミュージアム「薫習館(くんじゅうかん)」をオープンし、日本の香り文化を世界に発信しています。

「香老舗 松栄堂」で聞香(もんこう)をする常盤さん。聞香は香木の香りを鑑賞する手法で、鎌倉から室町時代にかけて誕生したといわれる ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

中京区の三条通にある「石黒香舗(いしぐろこうほ)」は、日本で唯一の“にほひ袋”の専門店です。“にほひ袋”とは、常温で楽しむお香の一種。白檀(びゃくだん)や丁子(ちょうじ)など、常温でも香る天然香料を細かく刻んで、調合したものを袋に詰めています。店内には色も形もさまざまなものが並び、実演販売も行われています。巾着の袋地と紐を選んだら好きな香りを詰めて、オリジナルの“にほひ袋”が完成。旅の思い出にぴったりなおみやげ品です。

「石黒香舗」の実演販売で選べる香りは4種類。線香の香りでなじみの深い白檀香(びゃくだんこう)と、ほか3種類は石黒香舗のオリジナルで天然の香木など約10種類がブレンドされている。 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
ころんとした形が特徴的な「石黒香舗」の“にほひ袋”。その愛らしい見た目に常盤さんたちも大満足。 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

独創性あふれる食と香りの伝道者

下京区の東本願寺南隣にある日本料理店「いと」は、2019年3月オープン。築100年余りの京町家をリノベーションした建物で、お客を迎える前にお香を焚いて、上品な和の香りでもてなします。店主の野口翔平(のぐち しょうへい)さんは、フランスや大阪の星付きのレストランで修業。メニューには和食の献立に、フレンチの技法をとりいれた斬新な料理が並びます。昼夜ともに月替わりのおまかせコースのみ。上質な食材にとことんこだわり、香りはもちろん、その持ち味を満喫することができます。締めには“幻の米”ともいわれる「旭一号」を使った炊き込みご飯が登場します。料理を引き立てるお酒のラインアップも充実し、なかでも日本酒は新潟の八海醸造ほか、京都の酒蔵などの銘酒が用意されています。

ふきのとうやクレソンなど春の香りをまとった天然の鹿のわら焼き。食材は、自ら生産者のもとへ足を運び、納得したものだけを仕入れている ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

京都市中京区の烏丸通沿いの「サンガインセンス本店 香煙研究所(こうえんけんきゅうじょ)」は創作線香の専門店。工房と売り場を併設する店内には、ここでしか出会えない香りが漂います。店主の橋本勝洋(はしもと かつひろ)さんは世界中を旅していた頃、人の歴史とともに歩んできた世界各国の香りに魅せられ、香りの世界へ。最大の特徴は橋本さんが、自ら世界中で採取してきたハーブ、香木、スパイス、鉱石など天然素材を使っていること。さらに宇宙へと飛ばした気球に乗せた麻炭(あさずみ)を使った創作線香「皆既日食」や、薬草のキャットニップやキャットフード用のハーブのみを使って調香した猫専用線香など、独自に研究を重ねる中から生み出されたオリジナルの香りは、独創性にあふれ、国内外から注目されています。

世界中で採取してきた天然素材の原料が並ぶ「サンガインセンス本店 香煙研究所」。“自然にあるものはすべて香料になる可能性を秘めている”という橋本さん ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

【次回放送情報】
■京都画報 第31回「京都の香りに触れる春 -聞いて見て食する香り-」
BS11にて4月10日(水)よる8時00分~8時55分放送
出演:常盤貴子

※ 放送後、BS11+にて4月14日(日)正午~ 2週間限定で見逃し配信いたします。

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