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叶 松谷造 色絵木瓜皿

夏の京料理 茄子のレシピ

⽇本最初の割烹料理店として本物の味を作り続ける「京ぎをん浜作」。
その3代目・森川裕之氏は予約のとれない人気の料理教室を主宰し、京料理の伝統的な技法や、素材が際立つ料理を伝えています。 今回はそのレシピの中から、これからの季節に楽しみたい茄子の味噌炒めと茄子田楽(でんがく)をご紹介いたします。

「親の意見と茄子の花は千に一つも無駄は無い」と言われるように、余程のことがない限り失敗することがない、最も栽培しやすい夏野菜であります。
お正月に見る初夢の中で「一富士二鷹三茄子」となっておりますのも、茄子が多産であるところから子孫繁栄を寿ぐ故でございましょう。葉ものがめっきり揃わなくなる初夏から盛夏、秋先までとても重宝する、安価で扱いやすい優れものであります。
京都では、葵祭を過ぎると賀茂茄子が真ん丸とたわわに実ります。本来、淡白な持ち味を抜群の相性である油で引き出すことが不可欠であります。紅白共にお味噌を合わせると、堂々たる夏の京料理の一品となります。

茄子二種
茄子の味噌炒め

材料

千両茄子 …… 3本
赤の焚き味噌 ……50g
一味唐辛子、酒
黒胡麻
サラダ油

作り方

  1. 茄子は天地を切り落とし、横半分に切って、それを縦半分に切り、棒状に切る。
  2. フライパンを熱し、油をたっぷり入れ、中火で茄子を炒める。油が引けばさらに油を足し、茄子全体に油がまわるように炒める(a)。
  3. ボウルに焚き味噌、一味唐辛子少々、酒大さじ1を混ぜ合わせておく。
  4. 2の茄子に3の味噌を加えたら弱火にして、茄子とよく絡ませる(b)。
  5. 器に盛り付け、黒胡麻を掛ける。
(a)油が茄子全体にまわるように中火で炒める。
(b)甘辛い焚き味噌を加えたら弱火にし、よく絡める。

茄子田楽

材料

賀茂茄子 …… 1個
赤の焚き味噌
白の焚き味噌
けしの実、木の芽
サラダ油

作り方

  1. 賀茂茄子は、天地を切り落とし、横に2等分する(a)。
  2. 断面に、箸で細かく無数の穴を開け、裏面も同様に無数の穴を開ける(b)。
  3. フライパンに茄子を置き、上からサラダ油をゆっくりとたっぷりかけて弱火で焼く(c)。
    無数の穴に、油がゆっくりと吸い込まれ、茄子に浸透していきます。
  4. キツネ色に焼き目がついたら、裏返して、同様にサラダ油をゆっくりとたっぷりかけて弱火でじっくりと火を通す。
  5. 赤の焚き味噌と白の焚き味噌を7対3の割合で混ぜた味噌を、茄子の半面に陰陽の形になるようにスプーンを使ってたっぷり盛る。
  6. 白の焚き味噌を、残りの半面に陰陽の形になるようにたっぷり盛る(d)。
  7. トースター等で、表面にかすかな焼き目をつける。
  8. 器に盛り、赤味噌の上にけしの実をかけ、白味噌の上に木の芽をのせる。
(a)田楽には大ぶりの賀茂茄子が最適。ヘタを落とし、底を切り、横2等分にする。
(b)火が通りやすいように箸の先で切り口に穴を開ける。両面共に行う。
(c)茄子をフライパンに置いたら油をかけ、それを浸透させる感覚で焼いていく。
(d)陰陽を描くように2色の焚き味噌を茄子にのせたら、上火で表面を軽く焼く。

*この記事の内容は、京都の名割烹「浜作」三代目が主宰、3万人が通った料理教室のレシピ本『京ぎをん浜作料理教室 四季の御献立』(著者:森川裕之)に掲載されています。

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