ここからしか見えない京都
  
「祇園丸山」の特製三段おせち。ハレの日の料理であるおせちには、伊勢海老やアワビなど高級食材を贅沢に使用する ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

おせち作りから学ぶ京都の食文化

華やかな食材に込められた歴史と願い

年の瀬が迫ると京都のあちこちの寺で催される冬の風物詩「大根(だいこ)炊き」。その先駆けといわれる千本釈迦堂では例年12月7日、8日の2日間、丸大根に梵字を書いて祈祷し、大鍋で油揚げと一緒に炊いたものが参拝客に振る舞われます。この大根を食べると諸病除けのご利益があるといわれ、境内はこの日、多くの人で賑わいます。

さらに13日には正月準備に入るため、芸妓や舞妓が師匠やお茶屋にあいさつまわりをする「正月事始め」、21日には東寺の「終(しま)い弘法」、25日には北野天満宮の「終(しま)い天神」など歳末行事が目白押しに。お正月はもうすぐそこ……。そこで気になるのが、京都のおせち料理。今回は常盤貴子さんが人気の京料理店のおせち料理を紹介、さらに店主の手ほどきを受けながら、おせち作りにチャレンジします。

祇園町南側にある「祇園丸山」の店主、丸山嘉桜(よしお)さんは京料理の名店で修行し、料理長を務め、1988年にこの地に店を開業しました。「味付けではない、味わいだ」という丸山さんのモットーは、四季折々の食材を厳選し、本来のうまみを存分に引き出すこと。「祇園丸山」のおせち料理は、美しい朱色を放つ伊勢海老が一の重の主役。伊勢海老の丸まった形が“腰の曲がった老人”に似ているということから、長寿を願う意味が込められています。さらに日本三大珍味といわれる、ボラの卵であるからすみと、ナマコの卵巣を天日干ししたこのこは、子孫繁栄を願う意味が。二の重は煮物が中心。京の伝統野菜である海老芋と丹波の黒豆、花山椒など。そして三の重には鮭や鱈などの魚、うに、いくらなどが豪勢に並びます。大阪と北海道を行き来していた北前船をイメージして作っているのだとか。

丸山では12月中頃には店の営業を終え、おせち作りに専念するそう。 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

常盤さんも名店のおせちに挑戦!

京都の中心部を南北に通る新町通に、旦那衆に愛される名店「京料理 木乃婦」があります。1935年創業。常盤さんはこの店の三代目当主・髙橋拓児さんにおせち作りを習います。髙橋さんは「東京吉兆」で5年間修業した後、木乃婦に戻り、初代の祖父、二代目の父に師事。飽くなき探求心が生み出す既成概念に捉われない京料理は、国内外に多くのファンを持っています。

おせち作りの前にまず2人が向かったのは、京味噌の「御幸町関東屋」。江戸時代後期、1847年の創業以来、伝統的な技法で味噌を作っている老舗です。白味噌は大豆を煮て、大豆の2倍の量の糀を合わせ、熟成期間は2週間ほど。糀は米が原料であるため、赤味噌に比べて強い甘味が特徴です。塩分が少ないので、ダシを活かす京料理には相性抜群なのだそう。木乃婦で使う白味噌は、さらに塩分を控えめにしたオーダーメード味噌。髙橋さんにとって決して欠かすことのできない調味料なのです。

さて、いよいよ常盤さんがおせち作りを開始。一の重に詰める甘鯛味噌柚庵(ゆうあん)焼き、二の重の海老芋とニンジン、レンコン、フキ、そしてタケノコを炊いた煮物、三の重の数の子を作ります。続いて、京都のお正月には欠かせない白味噌雑煮の作り方を習いますが、実にシンプルかつ簡単。丁寧に作られている料亭のおせち料理や、京料理を支える白味噌に出合い、常盤さんも「今年のおせち料理は手作りしてみたい」と感じたようです。

常盤さんと髙橋さん
簡単そうに見えた数の子も、下ごしらえから、カツオと昆布のダシの取り方など、じっくり丁寧に行われる ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
完成したおせち料理を前に、一足早い華やかな正月の雰囲気にひたる常盤さん ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
白味噌雑煮
京都の正月に欠かせない白味噌雑煮。昆布ダシに白味噌を溶いて味を決める、とてもシンプルな調理法。丸餅は焼かずに茹でて柔らかくするのがコツ ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

【次回放送情報】
■京都画報 第27回「迎春・寿ぎの京おせち -名料亭の祝い膳-」
BS11にて12月11日(月)よる7時00分~7時55分放送
出演:常盤貴子

※ 放送後、BS11+にて12月11日(月)よる8時~ 2週間限定で見逃し配信いたします。

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