ここからしか見えない京都
  

十二回目「はじめてのツアーイベント」

長かった大型連休が終わりましたね。
皆様はどのように過ごされましたか?

私はというと、連休の初日に、初めての『ツアーイベント』を開催いたしました。いわゆる『望月麻衣と京の町を散策しよう』というもので、今回の行き先は、清水寺です。
京都ガイドのプロ・らくたび京町家さんとのコラボ企画でして、らくたびの若村さんがガイドをしてくださいました。
長い間、こういうツアーイベントを開催したいと思っていたので、本当に楽しみにしていたのですが、当日はまさかの雨。それも結構な大雨でした。
残念だったのですが、ガイドの若村さんは激しい雨をもしのぐ勢いで、絶え間なく町の説明をしてくださったおかげで、道中楽しく歩くことができました。
三年坂(産寧坂)を上りきって、朱色の仁王門を前にした頃には、雨も小降りになって来ていて、私たちもホッと一息。

仁王門 画像素材:PIXTA

この仁王門、清水寺といえば、清水の舞台か、この仁王門の外観が出てくるくらい馴染みですが、実はこの門には、ちょっとした裏話があったのです。
元々、清水寺の正門は、仁王門をくぐった先の右側にある門、西門が使われていたそうです。
ですが、西門からは京の町を一望でき、景色として眺めるのは最高だったのですが、御所を見下ろしてしまう。それは不敬だ……ということで、町を見下ろすのを回避するために建てられたのがこの仁王門で、通称『目隠し門』とも呼ばれているそうです。
そんなわけで、西門は今、門としては使われていないのですが、西門の裏側にまわって、門の横から景色を眺めることができます。
「隠れ絶景スポットですよ」
と、若村さんに教えてもらい、私も参加者さんも一緒になって、西門から京の町を眺めて、感激していました。

今回の清水寺ツアーの見どころは、大型連休中に特別公開していた成就院の『月の庭』の拝観でした。
中心に池がある池泉回遊式庭園で、夜空に浮かぶ月が池の水面に映る様子、また、池の中心にある岩が水面に映ると月の形に見えるということから『月の庭』と呼ばれているそうです。
成就院に入るまでは、せっかく美しい庭を眺められるのだから、晴れていたら良かったのに、という想いもあったのですが、小雨が降る『月の庭』は、それはそれでしっとりした情緒があって素敵でした。
拝観者の写真撮影は禁じられていまして、その分、美しい庭をしっかり見て、心にとどめようと強く思わされました。
この京都屈指の名庭、普段は入ることができません。
次の特別公開は、秋だとか。皆様もまたの公開の際には、ぜひ。

成就院 月の庭 画像素材:PIXTA

成就院を出て、次は清水寺の本堂と清水の舞台です。
清水寺のご本尊は、千手観音。いつも私たちの前に見せてくれいる千手観音像は、実はご本尊ではなく、『写し』だそうです。ご本尊は、普段お姿を見られない秘仏でなんと33年に一度しかお目見えされないとか。次に御開帳が行われるのは、2033年だそうです。
あと、11年後。ぜひとも、お目にかかりたいものですね。

清水の舞台は、ご本尊に向けて、舞を奉納するための場所。
「それなのに、私たちはご本尊にお尻を向けて、景色にばかり夢中になっていますね」
そんな話をして笑い合ったりしていました。
他にも、ご本尊(写し)の左右にある風神雷神像や阿修羅像がある場所や由来など、色々と教えてもらいました。
それは、テレビの京都ロケ番組さながらで、まるで、自分たちがテレビの中に入っているみたい、と皆で感激していました。
私自身、こうしたガイド付きツアーに参加すること自体、初めてのこと。
これまでは、なんとなく観てまわって帰ってきていただけなんですが、色々お話を聞きながら回ることで、何度も訪れた清水寺の魅力が、より一層伝わってきました。
ガイドツアーって、良いものですね。
皆様も京都旅行の際は、ぜひ、ガイド付きツアーを選択肢のひとつに入れてみてくださいね。

清水寺 画像素材:PIXTA
この記事を書いた人
望月麻衣
 
京都在住の道産子。もの書き。 『京都寺町三条のホームズ』(双葉社)『わが家は祇園(まち)の拝み屋さん』(KADOKAWA)『京洛の森のアリス』(文藝春秋)『太秦荘ダイアリー』(双葉社)など書籍発売中。  
 

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