ここからしか見えない京都
  

霊験あらたか、初夏の叡電沿いへ

出町柳駅から八瀬方面、鞍馬方面の2路線を走る叡山電車。沿線には多くのパワースポットが点在する。

鞍馬線の終点である鞍馬駅を降り、3分ほど歩くと現れるのが鞍馬寺の山門だ。ここから本堂までは九十九(つづら)(おり)参道を歩いて30分ほど。脚に自信がない人は、山門駅(普明殿)から出ているケーブルカーの利用がおすすめだ。鞍馬寺といえば、謡曲や作家・大佛次郎の小説「鞍馬天狗」などで知られるところ。源義経が幼少のころ、奥の院参道にある僧正ガ谷で天狗に兵法を授かったという伝説があり、寺宝には義経のものと伝わる甲冑や太刀が残る。そして鞍馬寺の霊宝殿には貴重な毘沙門天が何体も安置されている。なかでも国宝の毘沙門天三尊立像はかつて本尊とされ、平安時代後期には庶民が財福の神として崇拝したという。

鞍馬寺霊宝殿に安置される国宝・毘沙門天三尊立像。恰幅(かっぷく)の良い体躯で迫力ある立ち姿が印象的だ

一乗寺駅には、「タヌキダニのお不動さん」で知られる狸谷山不動院がある。250段の長い石段を上がっていくと、途中には赤い鳥居がずらりと並ぶ白龍弁財天、参拝者を迎える「お迎え大師」の像、その先に「弘法大師 光明殿」があり、ようやく上り終えると本堂が現れる。本堂は開山の木食(もくじき)正禅(しょうぜん)養阿(ようあ)上人が北側斜面の洞窟に安置されていた不動明王に霊験を感じ、行法を修めた地で、それを囲むように伽藍を造成したため、懸崖(けんがい)造りになっている。同じ造りでは清水寺本堂が有名だ。ガン封じ、病気平癒などの祈願所として知られる。

山肌に寄り添うように建つ狸谷山不動院。本堂奥には眼光鋭い不動明王像が鎮座する

狸谷山麓にある圓光寺は、徳川家康が文治政治の一環として作った学問所が始まり。僧俗を問わず入学を許し、その開かれた校風から多くの学僧や絵師、墨跡文人を育んだという。本尊の千手観世音菩薩坐像は、運慶作と伝わる。境内には東照宮や家康の歯を埋葬した墓、枯山水の「(ほん)龍庭(りゅうてい)」、池泉回遊式の「(じゅう)牛之庭(ぎゅうのにわ)」、美しい襖絵など見どころも多い。

白砂を雲海に、石柱を龍の頭部や背中に見立てた圓光寺の奔龍庭

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「仏師と訪ねる新緑の京都~鞍馬寺・狸谷山不動院・圓光寺~」
2022年5月16日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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