ここからしか見えない京都
  
例年10月に「京都パンフェスティバル」が開催される上賀茂神社。凛とした空気が漂う境内を歩きながら、神社とパンの組み合わせの妙に、常盤さんもひとしきり感心 © KBS京都/TOKYO MX/BS11

京都人が育むパン文化

フランス留学を経て本格的なフランスパンを研究

実はパンとの関わりが深い京都。上賀茂神社の境内では、例年「京都パンフェスティバル」が開催されています(今年は未定)。同社の賀茂祭(葵祭)の神饌(しんせん)が京料理の原点だといわれ、古くから食文化との結びつきが強いことから2015年(平成27年)に始まりました。

パンが大好きという常盤貴子さんが最初に訪れたベーカリーは、地下鉄烏丸線の北山駅近くにある「進々堂北山店」。進々堂は、1913年(大正2年)に創業した老舗です。

創業者が1924年、パン修行のためフランスへ留学。 パリから戻った初代が、日本でまだ馴染みの薄い本格的なフランスパンを研究し、製造販売を開始しました。3代目の続木(つづき)(はじむ)さんが常盤さんにおすすめしたのは、創業者が留学した当時の原点に返って開発したという看板商品の「レトロバゲット“1924”」。表面はカリッとして、中はしっとり。噛めば噛むほど小麦本来の甘味が口中に広がり、常盤さんも「毎日食べても飽きない」と大絶賛。

毎朝、店で出すバゲットやパンをチェックしているという続木さん。断面を見せながら常盤さんにおいしいパンの見分け方を伝授 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

進々堂のパンをおいしい料理とともに味わえるのが、北区(たか)(がみね)の閑静な住宅街にあるフレンチの名店「ボルドー」です。料理に合うように、進々堂に特別に焼いてもらっているパンは、味を整えてからお客様に提供されています。

特製のクルミ入りのパンや、フランス産チーズを前にして常盤さんも大感激。 © KBS京都/TOKYO MX/BS11

欧州のサンドウィッチを京都のソウルフードに

河原町で生まれた「志津屋」の自慢の逸品は、1975年(昭和50年)に誕生した「カルネ」。ヨーロッパでの視察旅行で見た、カイザーゼンメルを使ったサイドウィッチを元に、日本人の口に合うようにアレンジ。いまでは、京都の人々のソウルフードにもなっています。常盤さんは花見がてら鴨川へ。志津屋のカルネや「元祖ビーフカツサンド」を頬張りながら、真っ盛りの春を満喫しました。

オーストリア発祥のパン、カイザーゼンメルにハムやチーズを挟んだ「カイザーロール」を、日本人向けに改良したカルネ ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

そして、デニッシュ食パンも京都生まれ。東山区にある「京都祇園ボロニヤ」は、ハムの製造販売をしていた創業者が、「おいしいハムに合うパンを作りたい」とパンの製造に着手。およそ10年の試行錯誤の末、40年以上前に出来上がったのがデニッシュ食パン。オーブン一つで焼き目が変わってしまうので、現在でも創業地で創案された技法と手作りにこだわっています。

京都生まれのパンは、京都人の食文化を伝える手土産としても最適です。

デニッシュの生地自体が重く、なかなか食パンサイズにするのが難しかったという。そこで創業者が考案したのが、生地を3つに分けて三つ編みにして焼くこと。京都らしい職人気質がうかがえる ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

【次回放送情報】
■京都画報 第8回「進取の気性が育んだ京のパン文化」
BS11にて5月11日(水)よる8時~放送

パンが大好きな常盤貴子さんが、京都で生まれ、人々に愛され続けるパンに出会います。京都は全国でもパンの消費量が高いことで知られていますが、そこには京都の人々の新しいものへの好奇心、そしてそれを作り上げる熱い思いがありました。

※ 放送後、BS11オンデマンドにて5月11日(水) よる9時~ 2週間限定で見逃し配信いたします。

この記事を書いた人
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