ここからしか見えない京都
  

十九回目「芸舞妓さんと新年会」

もう1月も終わりですが、
今年の第一回目ということであらためまして
あけましておめでとうございます。

下鴨神社 うさぎの絵馬

私の仕事はじめは、暦通り1月4日から。それから毎日、いつもと変わらず机に向かい、せっせと原稿を書いています。
そんな私のイベント始めは、1月22日の旧正月に開催していただきました。お馴染み『らくたび』さんとのコラボ企画『八坂神社を詣って、芸舞妓さんと新年会』です。
行程をざっくり書きますと、

15時40分 京阪祇園四条駅構内集合
16時 駅を出発、八坂神社へ
17時 祇園の料亭「ちもと」さんへ

ということで、16時に総勢40人で京阪の祇園四条駅を出て、八坂神社へ向かいました。らくたびの若村さん情報によると行動規制がなくなった今年のお正月、八坂神社は大変な混雑だったそうです。

若「参拝の列が丸太町通まで続いていましたよ」
望「えっ!丸太町通まで?そういえば、下鴨神社へ初詣に行った帰り、御金神社もすごい列だったのを見ましたが……」
若「御金神社の列も堀川通まで続いていましたね。でも、そんな御金神社や八坂神社よりも参拝客が多かった神社があるんですよ。どこだと思います?」
と、らくたびの若村さん。
さて、皆様はどこだと思いますか?
これは私はすぐに答えられました。
伏見稲荷大社でした。

やはり年の初めはまず、商売繁盛にご利益のある神社にお詣りに行かれる方が多いのでしょうね。
そんな話をしながら、八坂神社に到着。

いつものように若村さんが八坂神社の説明をしてくれました。

「元々、ここは渡来人の豪族が移り住んだと言われております。そしてインドの神様、牛頭(ごず)天王をお祭りしたんです。牛頭天王は、『祇園精舎』の守護神。平家物語の冒頭に出てくる『祇園精舎の鐘の声』というのは、インドにある釈迦が説法を行った場所なんですよね。

そのため、ここは元々『祇園神社』と呼ばれていたわけです。牛頭天王というのは、怒ると病を蔓延させるという性質がありまして、日本にもとても似た性質の神様がいました。それが『素戔嗚尊(すさのおのみこと)』です。インドの牛頭天王と日本の素戔嗚尊が結び付き、ここの祭神は今、素戔嗚尊とされているんです。明治になって、神仏分離令により、仏教色の強い『祇園神社』という名が許されず、坂がたくさんあるということから、『八坂神社』となりました。ですが、『祇園神社』のお祭り、『祇園祭』の名前だけはそのまま残ったわけです。神社と祭りの名前が違ってしまっているので、『祇園祭』は八坂神社のお祭りなんですが、それを知らない方も中にはいるんですよね」

へええ、と私たちは感心しながら聞き入るばかり。
相変わらず、京都の知識が豊富な若村さんは
「さすがリアル京都ホームズさん……」
と、囁かれていました。
説明を聞き終わった後は参拝です。
お正月は丸太町通まで列をなしていたという八坂神社ですが、今はすっかり落ち着いたもの。すぐに参拝できました。

境内には、大国主命(おおくにぬしのみこと)の神社も見えます。そこに今年の干支であるウサギの石像もあるので、今年は人気だとか。

また、本殿の裏側に、
『美御前社(うつくしごぜんしゃ)』
という社があるのですが、皆さんはご存じでしたでしょうか?

ちなみに私は知りませんでした。
ここはその名の通り美容にご利益のある神社。

私たちは張り切って参拝し、八坂神社の境内を後にしました。

さて、料亭「ちもと」さんはどこにあるのかといいますと四条大橋の西側から眺めた際、まずエキゾチックな建物で知られる中華料理店『東華菜館』が目に入ると思うのですが、その南隣にある黒っぽい建物がそうです。

会場は3階大広間で、見晴らしも素晴らしいです。

下座には舞台があります。
まずは、この舞台で私と若村さんがご挨拶と軽いトークをし、その後に芸舞妓さん、地方さん(※)が大広間に来て、お酌をしてくれます。
(※じかたさん→ 三味線を弾き、鼓や太鼓で囃し、能管や篠笛などの笛も吹き唄をうたって舞踊を引き立てる)
そうして、皆の飲み物が揃ったところで、乾杯です。

芸舞妓さんはその後も席をまわって、皆さんのお相手をしてくれます。

今日来てくださった舞妓さんは15歳から親元離れてこの世界に入り、スマホも持たず(禁止なので)ひたすら芸を磨き、お客様に披露していくという毎日を送っているそうです。
「憧れていたんどす」
と、舞妓さん。
きっと、たくさんのご苦労があったと思うのですが、それを微塵も感じさせない微笑みでした。伝統と文化を守り、憧れを与え続けている、そんな芸舞妓さんの存在に尊敬の念が募ります。

そうして食べて飲んで、場がほかほかに温まってきた頃、芸舞妓さんが舞を披露してくださいました。

舞妓さん、芸妓さんの舞、そして地方さんの三味線と唄、すべてがピッタリ合い、まるで芸術作品のようです。私たちはただただ見惚れるばかり。
「別世界だったね」
「まさか、私が芸舞妓さんの舞を生で観られるなんて」
と、たくさんの方が仰ってくれまして、このイベントを開催して良かったと心から思いました。

その後は恒例のプレゼント抽選会と、開始から終了まで、ワイワイと楽しい雰囲気の中で2023年最初のイベントは終わりました。
ご参加してくださって皆様、本当にありがとうございました。

こんな感じで今年も色んなことを皆さんと共に体験し、こうしてレポートしていけたらと思っております。
最後になりましたが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

今年最初の新刊は2月16日発売!
『京都寺町三条のホームズ19 ~拝み屋さんと鑑定士~』

京都寺町三条のホームズ 19 拝み屋さんと鑑定士(双葉社)
この記事を書いた人
望月麻衣
 
京都在住の道産子。もの書き。 『京都寺町三条のホームズ』(双葉社)『わが家は祇園(まち)の拝み屋さん』(KADOKAWA)『京洛の森のアリス』(文藝春秋)『太秦荘ダイアリー』(双葉社)など書籍発売中。  
 

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