ここからしか見えない京都
  
尼門跡寺院の清楚な佇まいを今に伝える霊鑑寺

十二支の「妙見さん」に開運、厄除けを願う

江戸時代中期、京都では開運、厄除けなどを妙見菩薩に願う「洛陽(らくよう)十二支(じゅうにし)妙見(みょうけん)めぐり」が盛んに行われていた。妙見菩薩は北極星、北斗七星を神格化したもので、宇宙万物の運気を司り、支配するといわれている。明治の廃仏毀釈によって信仰は一時衰退したが、昭和後期に「洛陽十二支妙見会」が発足し、昨今、注目を集めている。

妙見菩薩は京都御所の紫宸殿(ししんでん)を中心に、十二支の方角に祀られている。十二支の妙見さんは、寺の境内の一角にお堂やお宮が設けられており、今年の干支、卯の方角にあるのが「鹿ヶ谷(しかがたに)の妙見さん」(霊鑑寺)だ。続いて来年の辰の方角には「岡崎の妙見さん」(満願寺)、巳の方角には「清水の鎮宅妙見宮」(日體(にったい)寺)、午の方角は「伏見大手筋の妙見さん」(本教寺)、未の方角は「未の方の妙見さん」(法華寺)、申の方角は「島原の妙見さん」(慈雲寺)、酉の方角は「小倉山の妙見宮」(常寂光寺)、戌の方角は「鳴滝の妙見宮」(三寳(さんぼう)寺)、亥の方角は「鷹峯の岩戸妙見宮」((えん)(じょう)寺)、子の方角は「西陣の妙見宮」(善行院)、丑の方角は「本満寺の妙見宮」(本満寺)、そして昨年の干支である寅の方角には「修学院の妙見さん」(道入寺)がある。 めぐり方にルールはないが、一般的にはその年の干支や自分の干支からまわる人が多いという。

日體寺の妙見菩薩は財運の守り神、災いを鎮める家の守り神として信仰されてきた
戌が安産に通じることから安産祈願所としても知られる三寳(さんぼう)寺
圓成寺の妙見堂には、霊亀の背に乗った約2メートル余の妙見大菩薩像を安置する
寅年の1年間を護った宝剣を、卯の霊鑑寺に引き継いだ道入寺

「洛陽十二支妙見会」では毎年12月になると、その年から次の年の干支の方角の寺に宝剣を引き継ぐ「洛陽十二支妙見宝剣引継大祭」を実施する。2022年(令和4年)は寅の道入寺から卯の霊鑑寺が宝剣を引き継ぐ法要が営まれた。ちなみに霊鑑寺は、後水尾天皇が皇女を開基として創建した尼門跡寺院で通常非公開となっているが、妙見宮は山門の外にあるのでいつでも参拝可能だ。例年の春の特別拝観では境内に入ることが許され、狩野派の障壁画や庭内の100種以上ある椿を鑑賞することができる。

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「洛陽十二支妙見めぐり~星の仏様に開運・厄除け祈願~」
2023年1月30日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて再放送

この記事を書いた人
旅行読売出版社 メディアプロモーション部
 
月刊「旅行読売」は創刊56周年を迎え、日本で一番歴史のある旅行雑誌。国内外に地域の魅力を発信して、交流人口を増やすことで、地域の発展に貢献することを目指しています。毎月28日発売。  
 

タグ一覧

#人気ワード