ここからしか見えない京都
  
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二十三回目「京都のお東さん」

京都駅前の東本願寺。
京都に訪れた方なら、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?
私も何度も前を通りすぎたことがあるのですが、参拝したことは一度もありませんでした。

今年は、東本願寺の宗祖・親鸞聖人の生誕850年!
春には様々なところで慶讃法要(きょうさんほうよう)がお勤めされていました。
まさに本願寺の年。せっかくですので、私のエッセイでも、取り上げてみたいと思います。
(ということで、取材へ行ってきましたよ)

画像素材:PIXTA

東本願寺の通称は『お東さん』というそうです。
西本願寺に対して、東にあるからだとか。
(ちなみに西本願寺は『お西さん』)

かつて東本願寺、西本願寺は元々ひとつのお寺でしたが、織田信長が石山本願寺を攻めた際、寺の中で、信長と戦うか和睦かで意見が二つに分かれてしまい、それがきっかけで西と東に分かれたとか。
その後、西は豊臣秀吉の、東は徳川家康の寄進を受けて、 『西本願寺』、『東本願寺』が誕生したそうです。
(諸説あります)

その後、両者の仲は悪かったそうですが、
今は手を取り合っているそうです(良かった!)。
さて、そんなお東さん。
今年、ちょっと話題になりましたよね。

全長12メートルの巨大なコケシ・はなこが門前にやってきたからです。
(現代アートのYottaさんが制作)
多くの人がこの写真をSNSにアップしていました。

こちらのコケシ、なぜ横になっているかというと、京都の景観上の制限規制のためだそうです。
(そうだったんだ!と目から鱗でした笑)

東本願寺といえば、荘厳な『御影堂門』(ごえいどうもん)。
門をくぐった正面に御影堂があるので、『御影堂門』だそうです。
京都の三大門に数えられています。
(ちなみに三大門は、知恩院の三門、南禅寺の三門の他、仁和寺の二王門か、もしくは東本願寺の御影堂門と言われているとか)

本願寺といえば、「他力本願」の言葉の由来。
その言葉から、「人任せにしちゃえ!」というイメージがありますが、
本来は、「阿弥陀仏の本願に頼り、成仏をする」だそうです。
つまり御仏にお任せする、ということなのでしょう。
今を懸命に生きてる私たちは、
『人事を尽くして天命を待つ』
そんな気持ちでの「他力本願」も良いかもしれませんね。

それにしても、境内が広いです。
この広さのためか、人がたくさんいても混雑しているように感じず、快適に参拝ができました。

門前の噴水は、市役所を手がけたことで知られる武田五一の設計

最近、東本願寺の前の緑地帯が整備されて、とても過ごしやすくなりました。
『お東さん広場』の愛称で親しまれています。
ここで、様々なイベントをしているそうで、広場の大木でツリークライミングなどのイベントを年に数回開催しています。

訪れた日は、手づくり市が開催されていました。
なんと第一回『お東さん手づくり門前市』。

御影堂門と京都タワーといい、まさに京都の景観バックに、手づくり市散策というのも新たな京都の楽しみ方という感じがします。

私はここで清水焼のマグカップをGETしました。

淡い色合いと、鳥が可愛いです!

装いも新たになったお東さん広場は市民や観光客の憩いの場となっていきそうです。

東本願寺の周辺には情緒がある店も多く、散歩するだけで楽しい気分になりました。
これまで、東本願寺を眺めていただけの方、ぜひ一度訪れてみてください。

※ こけしの写真は、らくたび京町家・山村純也さんにお借りしました。ありがとうございました。

この記事を書いた人
望月麻衣
 
京都在住の道産子。もの書き。 『京都寺町三条のホームズ』(双葉社)『わが家は祇園(まち)の拝み屋さん』(KADOKAWA)『京洛の森のアリス』(文藝春秋)『太秦荘ダイアリー』(双葉社)など書籍発売中。  
 

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