ここからしか見えない京都
  

幽玄な洛西の社寺で深秋を味わう

山々が赤く染まるこの季節、京都は一段と輝きを増す。そんなときにこそ、しっとりとした日本情緒を感じる旅をしてみたい。

嵐山は紅葉の名所として知られるが、その南西にある松尾山周辺には歴史豊かな名刹が点在する。松尾山を神域にする松尾大社は、飛鳥時代の創建。酒の神様を祀り、境内には「お酒の資料館」があるほか、「亀の井」と呼ばれる湧き水があり、酒造家は毎年この水を仕込み水に混ぜて新酒を仕込むという。また、この神社の最たる見どころは、1975年に完成した庭園学の大家、重森三玲作の庭園「松風(しょうふう)(えん)」だろう。「上古の庭」「曲水の庭」「蓬莱の庭」の3つに庭はそれぞれのテーマで構成され、大きな石をいたるところに配した光景は庭園アートの様相だ。

平安貴族の雅遊の場を表現した松尾大社の「曲水の庭」

松尾大社を南下すると「苔寺」として親しまれる西芳寺(さいほうじ)がある。奈良時代に行基が開山した寺で、もとはこの地に聖徳太子の別荘があったそうだ。1994年に世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産に登録され、120余種の苔が境内一面を覆い、幻想的な雰囲気を漂わせる。

秋になると苔むした境内に紅葉が彩りを添える西芳寺

そして、西芳寺からやや南にあるのが地蔵院。境内が竹林に囲まれていることから「竹の寺」と呼ばれ、一休禅師が幼少の頃に過ごしたと伝わる。竹林を縫うようにモミジが植えられ、彩り豊かな秋の風景が堪能できる。清閑とした境内にたたずめば都会の喧騒から解き放たれ、心洗われるひとときが訪れる。地蔵院では現在、プロ・アマ問わず、ピアノ演奏の希望者に音楽奉納として「寺ピアノ」を実施している。腕に覚えのある人はチャレンジしてみてはいかがだろう。

竹の精気に包まれた地蔵院で、心穏やかな癒しのひとときを

※ 西芳寺拝観は現在のコロナ禍を踏まえ、1週間前までホームページでオンライン予約(1組2人まで)が可能だが、基本は往復はがきで受け付けている。

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「世界遺産の苔寺から竹の寺へ 松尾山周辺の今」
2021年10月18日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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