ここからしか見えない京都
  
撮影:森山雅智

常盤貴子さん「私は、京都が好きな人代表」 尽きぬ魅力、「京都画報」でナビゲート

四季折々の風景を紡ぐ寺社や日本庭園、料理人の粋(すい)ともてなしの心が宿る一皿、伝統を受け継ぎ未来へとつなぐ人々…。観(み)ているだけで京都を旅する気分になれるような、KBS京都・TOKYO MX・BS11の3社共同制作紀行番組「京都画報」が、10月からレギュラー化します。出演は、俳優の常盤貴子さん。仕事やプライベートで何度も京都を訪れたことがありつつも、「まだ知り尽くすことができない」と語る京都の魅力を聞きました。

言葉ではなく、ビジョンを伝える京の美意識

――「京都画報」レギュラー化第1回のロケはいかがでしたか?

常盤 お天気はよくなかったのですが、雨の京都もやっぱり素敵でした。コケがしっとりときれいに見えて、雨音もすごく心地よくて。

――南禅寺そばにあり、450余年続く老舗料亭「瓢亭(ひょうてい)」や、職人が作る茶筒の「開化堂」などを訪ねられたとのことですが、印象的だったことは?

撮影:森山雅智

常盤 「瓢亭」では14代目当主・高橋英一さん、華道未生流笹岡(みしょうりゅうささおか)の3代家元・笹岡隆甫(りゅうほ)さんと鼎談(ていだん)させていただきました。京都の「食」や「美」についてお話をお聞きしたんですけど、(京都で文化・芸術に携わる方々は)私たちがなんとなく思っている美しさよりももっと明確に、「美とは何か」というビジョンを持っていらっしゃるんですよね。

――具体的に、どんなふうにご自身の美意識を表現されていたんですか?

常盤 もしかすると、京都の方ならではの表現方法なのかもしれないですけど…。言葉で明確にはおっしゃらない。抽象的な表現で「察しておくれやす」というか。でもそこにはちゃんとビジョンがある。私にはそう受け取れたんです。例えば、「自分はこういうものが好きなんです」とさりげなく表現して、受け取る人によって捉えかたが違ってもいい。「瓢亭」の高橋さんも「“そこはかとなく”が好みです」とおっしゃっていて、お料理をいただくと「そのものだな」と。言葉を受け取るというよりも、美の意識を受け取ったと感じました。

――「開化堂」では実際に茶筒やコーヒー缶を手にとられたんですか?

常盤 はい。実際に作っているところも見せていただいて、その思い出とともに持ち帰ることができるのは旅ならではだなぁと思いました。フタが(フタそのものの重みで)スーッと落ちていくように閉まるんですよね。これからはコーヒーをいれる時間だけじゃなく、コーヒー豆の缶を開いて閉める時間も楽しめるようになりました。(銅製の缶は経年変化が楽しめるので)毎日触っていい色に育てていきたいなと思っています。

撮影:森山雅智

京都はパリに似ている 大人だからこその旅の楽しみ

――子ども時代は関西で過ごされたそうですが、京都には昔から親しみはありましたか?

常盤 小・中学校と父の転勤で兵庫県西宮市で暮らして、高校1年で横浜に移りました。西宮に住んでいるときに京都を訪ねることは少なかったですね。どちらかというと、20代になってから自分で行くことが多かったです。

――そのころから今まで、何度もお仕事やプライベートで京都に足を運ばれていると思いますが、京都にはどんな印象を持たれていますか?

常盤 女性の好きなものが詰まっているというか。(その点では)フランスも同じように感じます。街ごと美術館のようなところも、興味が尽きないところも、パリと京都はすごく似ていて…。歴史が長くて文化も成熟していますよね。そのプライドが京都に住む人の中にはある。(歴史や文化に裏打ちされた)知識や教養もたくさんおありです。

――京都はパリに似ている。どちらも訪ねたからこそ感じることですね。

常盤 そうそう、京都の人はよくしゃべる。カウンターで、料理人のかたとお話をして(季節や食文化を)知っていく。パリのレストランでも、シェフが出てきておしゃべりすることが多いんです。そういうところも似ているなと思います。京都ではお客さん側も、「カウンターがええわ」といって会話を楽しんでいるような気がします。

――パリと京都の共通点や、料理人との会話のキャッチボール…。大人ならではの京都の楽しみはそういうところに?

常盤 そうですね。ある程度行き尽くしたかなと思っても、まだまだ先があるから、到底知り尽くすことなんてできないんですけど…。この番組をきっかけに、私が今まで見えていなかった京都に出会えると思うので、すごく楽しみにしています。

「京都ファン代表」として、一歩先の京都を知るきっかけに

撮影:森山雅智

――コロナ禍での放送延期を経て、「京都画報」が10月から待望のレギュラー化となりますが、思いを聞かせてください。

常盤 私、こういう番組は初めてで慣れていないので、(お話をいただいたときは)とても不安だったんです。私で務まる気がしないというか。でも、第1回のロケをやらせていただいて「こういうことでいいのか」と思ったことがあって。ただ私が「京都が好きな人代表」になればいいのかな、と。

――「京都が好きな人代表」。確かに、視聴者のみなさんも共感しながら楽しめますね。

常盤 京都は大好きで何度も行かせていただいているけど、観光しているだけだと気づけない、京都の裏側やもう一歩先の魅力があるじゃないですか。そこから自分が興味を持って調べたり勉強したりするきっかけを、この番組で作っていただいていると思います。

――11月半ばを過ぎると京都は紅葉シーズンを迎えますが、常盤さんがこれまで行って思い出に残っている、または今後訪ねてみたいなと思っている紅葉スポットはありますか?

常盤 本当にベタで申し訳ないんですけど、「永観堂」です。私、京都でみなさんが紅葉を見に行かれる理由が、(頭では理解しつつも実際に見るまで)ピンときてなかったんですよね。でも永観堂の紅葉を初めて見たときに本当に驚いたんです。「だからみんな来るんだ!」って。自然ってこんなに色彩豊かなんだということを、私はそれまで知らなかった。一言で紅葉といっても、これだけの色があったんだって。そう考えると、着物の色で和の色っていっぱいあるじゃないですか。そういう微妙な色の違いも、自然の色を見ているからこそ出てくるんだと。(自然から文化・芸術へと)いろんなことに通じていて、本当にカルチャーショックでした。今後、紅葉や庭園のロケもあるので本当に楽しみです。

――コロナ禍でなかなか京都を訪ねられない、という方も多いと思います。番組をご覧になる視聴者の方にメッセージをお願いします。

常盤 私自身がこの番組で知らなかった京都の魅力を知っていくように、観ている方々も、大好きな京都を知るきっかけにしていただけたらなと思います。


常盤さんの出会う風景や文化、伝統とそれを支える人々を通して、まだ見ぬ新しい「京都」を見つける。「京都が好きな人代表」の常盤さんの出会いと発見に共感しながら、みなさんも、ひと時の「観る」京都旅行に出かけてみてはいかがでしょう。

撮影:森山雅智

常盤貴子
ときわ・たかこ 1972年神奈川県生まれ。ドラマ「愛していると言ってくれ」「ビューティフルライフ」「まれ」「グッドワイフ」ほか多数出演。映画は「赤い月」「間宮兄弟」「筆子・その愛」「20世紀少年」3部作、「野のなななのか」など。

京都画報 京都の美意識
10月13日(水) よる8時00分~8時54分
BS11(イレブン)にて放送
放送後は、BS11オンデマンドにて期間限定で無料見逃し配信

この記事を書いた人
大橋知沙 おおはし・ちさ 編集者・ライター
 
東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。 京都のガイドブックやWEB、ライフスタイル誌などを中心に取材・執筆を手がける。 本WEBの連載「京都ゆるり休日さんぽ」をまとめた著書に『京都のいいとこ。』(朝日新聞出版)。編集・執筆に参加した本に『京都手みやげと贈り物カタログ』(朝日新聞出版)、『活版印刷の本』(グラフィック社)、『LETTERS』(手紙社)など。自身も築約80年の古い家で、職人や作家のつくるモノとの暮らしを実践中。  

朝日新聞デジタルマガジン&Travelより転載
(掲載日:2021年10月11日)