ここからしか見えない京都
  
鈴虫寺の幸福地蔵菩薩の足元は、珍しいわらじ履き。お地蔵さまが参拝者のもとに歩いて行き、救いの手を差し伸べるためとか

師走の風物詩で京の冬を満喫

京都では一年の締めくくりの縁日を「(しま)い〇〇」と言い、毎月行われている東寺の弘法市は「終い弘法」、北野天満宮の天神市は「終い天神」などと呼ばれる。鈴虫寺の愛称で親しまれる華厳寺の「納めの地蔵」もその1つ。石段を上った山門脇に立つ「幸福地蔵菩薩」は、どんな願いごとでも1つだけ必ず叶えるというお地蔵さまだ。一年を通して願い事やお礼参りにたくさんの人が訪れるが、幸福地蔵菩薩の縁日法要が行われる12月24日はもっとも参拝客が多くなる。秋だけでなく一年中鈴虫が鳴く書院では、毎日夕方までの随時で、30分ほどの鈴虫説法が行われ、若い女性を中心に盛況を博している。

そして師走の風物詩といえば除夜の鐘。なかでも大鐘で知られるのが知恩院で、釣鐘は高さ3.3メートル、直径2.8 メートル、重さ約70トンにおよび、京都の方広寺、奈良の東大寺と並ぶ。この鐘が()かれるのは、4月の法然上人の御忌大会と大晦日の除夜、そして12月27日に行われる試し撞きのときだけ。試し撞きは、知恩院の僧侶の中から撞き手が選ばれる、いわば選抜試験のようなもの。大晦日の本番では、親綱を持った撞き手の掛け声のもと、小綱を持つ16人とタイミングをあわせ豪快に大鐘を打ち鳴らす。ちなみに知恩院では、2023年1月20日から内部非公開の大方丈(おおほうじょう)の特別公開が行われ、狩野派の襖絵を鑑賞することができる。

知恩院の大方丈。「鶴の間」「松の間」など襖8面が、16年ぶりに戻ってきたことで注目を集めている

新たな冬の風物詩として注目されているのが、宇治市の萬福寺で2023年1月31日まで行われる夜の特別拝観「黄檗(おうばく)ランタンフェスティバル」だ。中国で制作された色とりどりのランタンがおよそ30か所に設置され、夜の境内は幻想的な雰囲気に包まれる。2022年は開祖・隠元禅師の350年大遠忌、また日中友好50周年を記念して、ランタンの灯りでお祝いをする趣向だ。

萬福寺境内に配置されたランタン。開祖の隠元禅師が中国から渡来した様子を表現している

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「師走の京の風物詩をめぐる~鈴虫寺・知恩院・萬福寺~」
2022年12月19日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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