ここからしか見えない京都
  
©KBS京都/TOKYO MX/BS11

奥深い京豆腐の味と歴史

“昔ながら”をかたくなに守る職人の味

京都の食文化や精進料理に欠かせない豆腐。今回は、常盤貴子さんが大好きな京都の豆腐の真髄に迫ります。

清水寺へと続く二年坂。八坂の塔を望むロケーションにあるのが、総本家ゆどうふ奥丹清水(おくたんきよみず)です。寛永12年 (1635年)に南禅寺の門前で 創業。名物は先代が昔ながらの製法にこだわって作った「昔どうふ」。しっかりとした食感の木綿豆腐で、大豆は滋賀県比良山地の麓で無農薬栽培されている「フクユカタ」 を使い、超軟水の比良山系の地下水で仕込んでいます。また市販の凝固剤ではなく、藁(わら)にあら塩を入れてぶら下げて抽出した、 天然のにがりを使用しています。「昔どうふ一通り(ひととおり)」は湯豆腐ほか、木の芽田楽やとろろ汁、精進天ぷらなど7品が付いたコース料理になっています。

湯どうふ奥丹清水の「昔どうふ一通り」。昔どうふは、少し固めの純古代作りの木綿豆腐で、すべての工程が手作業で行われている ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

スーパーが全盛の現代では、豆腐店の姿も珍しいものになりました。今でも「おくどさん」と呼ばれる大きなかまどで豆を炊き、昔ながらの手作業で豆腐を作り続けている入山とうふ店。のれん には「創業文政年間」の文字が。豆腐が店に並ぶ午前10時ごろ になると、できたてを目当てに常連さんが続々とやってきます。秋から4月ごろまでは、 串を打って、炭火で焼き上げる焼き豆腐が登場。店先に香ばしい香りが漂います。焼き豆腐は味噌をぬって、田楽にして味わうのがおすすめです。

かまどで豆を炊く店は、全国でも少なくなっている。かまどにこだわるのは、直火ならではの香ばしい独特の豆の香りが、機械では出せないからだという ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

絶品のお揚げさんと禅寺の精進料理教室

右京区天神川通にある久在屋(きゅうざや)は1987年創業。大きな油揚げの看板が目印です。石川県出身の 店主・東田和久さんは、京都で豆腐店を営む親戚のもとで修行し、 24歳で自分の店を出しました。“お揚げさん”と呼ばれる京都の油揚げは、生地が分厚く、中の豆腐が少し残っているのが特徴。しっとりとした食感が残るので“おばんざい”に欠かせない食材です。多いときは1日4000枚も作るのだそう。 美味しさの秘訣は2種類の菜種油をブレンドした揚げ油で、低温と高温の二度揚げをすること。またこだわりの「地豆腐」 は、大豆の個性を味わってほしいと、大豆の産地を変えて月替わりで販売しています。さらに別店舗では店の豆乳や豆腐を使ったヘルシーなスイーツも販売。

一枚一枚、時間をかけて低温で揚げ、生地を伸ばし、次に200度の高温で揚げ、程良いきつね色に。菜種油で揚げているので油抜きをしなくてもいいのが特徴 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

妙心寺の塔頭の1つ、東林院は精進料理で有名なお寺。住職の西川玄房さんは寺に厨房を設け、25年前から 精進料理の教室を開いています。今回は常盤さんが禅寺の精進料理に欠かせない豆腐料理を教わります。今年の干支、辰にちなんだ飛龍頭(ひりょうず)を作ります。出来上がった料理は、豆腐と野菜を活かした滋味あふれる味わいで、豆腐料理の奥深さを実感しました。

東林院で豆腐料理を教わる常盤さん。「豆腐でも野菜でも無駄なく使い切り、そのものの命をいただくことで、生かされていることに気づく」と禅の教えを説きながら、調理指導をする西川住職 ©KBS京都/TOKYO MX/BS11
東林院の精進料理。常盤さんが教わったのが真ん中の飛龍頭。ゴボウはひげ、銀杏は目など、食材にも龍のイメージが ©KBS京都/TOKYO MX/BS11

【次回放送情報】
■京都画報 第30回「京都の定番!豆腐の名店 -町のとうふ店から名刹の精進まで-」
BS11にて3月11日(月)よる7時00分~7時55分放送
出演:常盤貴子

※ 放送後、BS11+にて3月11日(月)よる8時~ 2週間限定で見逃し配信いたします。

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