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天満宮めぐりで菅原道真の生涯をたどる

受験シーズンもいよいよ終盤。この時期、学門の神様・菅原道真(すがわらのみちざね)を祀る総本社の北野天満宮をはじめ、各地の天満宮・天神社は合格祈願をする学生であふれる。

北野天満宮は947年、平安京の天門(北西)にあたる北野の地に、道真を祀るために創建された。古来、朝廷や将軍家によって造営修繕が行われてきたが、現在の本殿は1607年に豊臣秀頼が造営したもの。檜皮葺(ひわだぶき)入母屋造の桃山建築で、本殿と拝殿、それを結ぶ石畳の廊下「石の間」、拝殿両脇の「楽の間」、本殿西の脇殿は、神社建築の歴史を伝える貴重な遺構として国宝に指定されている。中門は日、月、星の三光を意味する彫刻のうち、星が彫られていないため「星欠けの三光門」と呼ばれ、北野天満宮の七不思議と伝わる。また道真の自邸から一晩で大宰府まで飛んだという飛梅が本殿前に咲き誇る。境内には神様の使いである牛の石像がいくつか配され、頭をなで、学業成就を願う人が多い。

北野天満宮の本殿。桃山建築を今に残す貴重な遺構

市内には道真を祀る神社が数社点在する。京都御所の近くにある菅原院天満宮神社は、道真誕生が伝わる場所に建つ。境内には産湯に用いた「初湯の井戸」があり、170年の間、水が枯れることなく湧き続け、自由に汲んで持ち帰ることができる。末社の「梅丸大明神」はがん封じにご利益があるといわれ、神前に置かれた平癒石に触れるため、参拝に訪れる人も多い。

菅原院天満宮神社の梅丸大明神。お礼参りの参拝客も多い

南区吉祥院にある吉祥院天満宮もまた、道真生誕の地の一つだという。境内には道真のへその緒を埋めたと伝えられる「胞衣塚(えなづか)」をはじめ、勉学・手習いに用いた「硯の水」、顔を映したと伝える「鑑(かがみ)の井」があり、在りし日の道真をしのぶことができる。

吉祥院天満宮の「金のなで牛・くぐり牛」で願い事を

道真の没後、師である尊意(そんい)が勧請した八瀬(やせ)天満宮社は、道真が比叡山に通う途中に休息した地と伝わる。社殿の背面扉の内側には、道真を仏の姿にした十一面観音絵像が祀られている。本殿のほか、九つの摂社や菅公腰掛け石、弁慶背比べ石がある。

比叡山に連なる御所谷山麓にある八瀬天満宮社

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「菅原道真ゆかりの地をめぐる~北野天満宮・吉祥院天満宮・菅原院天満宮神社・八瀬天満宮社~」
2024年3月11日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

旅行読売
(2024年4月号より転載)

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