ここからしか見えない京都
  

新緑に想いを馳せる京の女性たち

初夏が近づくと、京都は美しい新緑に包まれる。そんな京都の名所を訪ね歩くと、時代を生き抜いた女性たちの物語をかいま見ることができる。

東山区にある泉涌寺(せんにゅうじ)塔頭(たっちゅう)、今熊野観音寺は青もみじの名所として知られる。赤い鳥居橋付近の青もみじはとりわけ美しく、緑と朱のコントラストが幻想的だ。この寺の境内付近に清少納言の父の邸宅があったといわれ、彼女が生まれ育った地としても知られる。

清少納言の生涯をたどりながら新緑の寺めぐりを

清少納言にちなんだ名所では、嵐山の(くるま)(ざき)神社もその一つ。清少納言を祀る末社があり、「才色兼備のお守り」が女性参拝者に人気だという。神聖な空気に包まれた境内には、悪い運気や因縁を断ち切るパワースポットもあり注目されている。また、別の末社には芸能神社もあり、俳優や有名タレントなどが奉納した玉垣が並ぶ。

洛北の常照寺は、江戸時代に希代の遊女といわれた二代目吉野太夫が眠る。茶室「遺芳庵」に設えられた壁一面の大きな円窓は太夫がこよなく愛したことから、「吉野窓」と呼ばれる。窓の外にはまぶしいほどの緑が広がり、丸く切り抜かれた景色は絵画のようにも見える。朱塗りの山門は、若き太夫が寄進したものだ。

常照寺の吉野門。境内には美しい青もみじが広がる

そして、東山区にある円山(まるやま)公園は日本画家、上村松園が絵画の勉強のために通い続けたゆかりの地。池をカエデやもみじが覆い、多彩な緑色を水面に映す。

明治時代に京都市初の都市公園として整備された円山公園

みずみずしく生命力あふれる新緑は、それぞれの時代を生き抜いた京の女性の力強さを現しているかのようだ。

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「ヒロインと京都の新緑~清少納言・吉野太夫・上村松園~」
2021年6月14日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

旅行読売
(2021年7月号より転載)