ここからしか見えない京都
  

夏の東山で歴史散策を

京都屈指の人気観光エリア・東山。三年坂や八坂の塔など、象徴的な景観は誰もが知るところだ。その中心的存在が清水寺だろう。開門が朝6時からと早いので、夏は早朝拝観がおすすめだ。本尊の十一面千手観世音菩薩像が安置された本堂は、平成の大修理が行われ、2020年には檜皮(ひわだ)屋根の葺き替えや、檜舞台の張り替えなどを終えて、雄大な姿がよみがえった。毎年8月9日から16日の8日間は、1日の参詣が千日分の功徳(くどく)に相当するとされる「千日詣り」の期間で、通常非公開の本堂内々陣の特別拝観が行われる。

平成の大修理で、50年ぶりに屋根の檜皮が葺き変えられた本堂

清水寺の北西には、“SNS映え”で人気スポットになっている八坂庚申堂(やさかこうしんどう)がある。正式名称は金剛寺。庚申とは干支の一つで、庚(かのえ)と申(さる)の日には人間の身体に潜む三尸(さんし)が夜に身体を抜け出して、天にその宿主の罪悪を告げ、寿命を縮めさせるという。その三尸をおさえてくれるのが本尊の青面金剛だ。猿は青面金剛の使いとされており、手作りされている「くくり猿」に願いを託せば、本尊に伝えてくれるという。境内には奉納されたカラフルな「くくり猿」が無数に吊り下げられ、記念撮影に興じる若い女性が多い。庚申の日は縁日にあたり、護摩供養や厄除けのこんにゃく炊きなどが行われる。この日、猿の形にくり抜いたこんにゃくを3個、北を向いて無言で食べれば、無病息災のご利益があると伝えられている。

願い事を書いた「くくり猿」がいたるところに吊られた八坂庚申堂の境内

清水寺から北に向かい、維新の道を上ると現れるのが、幕末の志士たちを祀る京都霊山(りょうぜん)護国神社だ。境内東側には志士たちが眠る霊山墓地があり、市街を一望にする丘には、近江屋で刺客に襲われ、非業の死を遂げた坂本龍馬と中岡慎太郎の二人が眠る。神社の向かいには霊山歴史館が建つ。1970年に開館した日本唯一の幕末維新総合博物館で、幕府側、倒幕側の両方の視点から資料を展示する。9月10日まで実施している夏の企画展では、「結成160年 新選組奮戦録」と題して、池田屋事件などで活躍した新選組の歴史をたどる。

京都霊山護国神社の境内に立つ坂本龍馬と中岡慎太郎の銅像

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「夏の清水寺界隈を巡る~清水寺・京都霊山護国神社・霊山歴史館・八坂庚申堂~」
2023年8月7日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

旅行読売
(2023年9月号より転載)

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