ここからしか見えない京都
  

第23回「いのち潤す龍に会える場所 / 眞名井神社」

今年は辰年。新年最初のお便りは、私が大好きな龍に会える神社のひとつ、眞名井神社をご紹介したいと思います。

私が初めて眞名井神社に伺ったのは、雪景色の美しいとき。

眞名井神社があるのは、日本三景のひとつである天橋立が有名な宮津。その名の通り、伊勢神宮の元になっているという元伊勢 籠神社(もといせこのじんじゃ)の奥宮で、2500年前の祭祀場まで残る古社です。

京都市内から宮津へ向かうまでの道のり、途中の亀岡盆地の辺りで「丹波霧」と呼ばれる濃霧がよく発生する地域を通ります。晩秋から春にかけて見ることができるそうですが、亀岡の山々にかかる霧の幻想的なこと。この景色もいつか別のお便りでお伝えできたらと思います。
それを抜けると、まるで写真のように澄んだ空と真っ白な雪景色の宮津に到着して、濃霧がこの光景にたどり着くまでの神秘的な演出だったかのように感じました。

さて、やって来ました眞名井神社。ほんの少し高台にあるため、向かう道からも美しい海の景色を見ることができました。

なんと参道をお守りされているのが、狛犬ならぬ、狛犬と同じような阿吽の形相の二体の“龍”です。いかにこの神社が、龍との所縁が深いことか想像されます。御祭神は豊受大神(トヨウケオオカミ)で、食物や穀物、産業や衣食住の女神とされています。「狛龍」はそのお使いとして置かれたのでしょうか。

よく龍は水の神様と言われます。
この眞名井神社で有名なのが、御神水とされる「天の眞名井の水」です。
この日も地元の方々と思われる参拝客がくみに来ておられました。私もお賽銭をして飲ませていただきましたが、透き通っていてまろやかさもあり、とてもおいしく感じました。少し贅沢な気もしますが、こんな名水で入れるコーヒーや緑茶はどんなにおいしいでしょうか。地元の方々が日常的にこのお水を飲むことができるのは本当にうらやましいことです。

また、個人的には、参道までの竹林の雪化粧も美しく魅力的に感じました。
竹の緑の色彩と艶のある質感とが玉ように光り輝き、きっとこのような景色から、かぐや姫の物語が生み出されたのではないかしらと想像したり。

時が止まったかのような雪の世界ですが、どこもかしこも凍りついて眠っているというわけではありません。この日も、雪解けの小川の水がちょろちょろと流れる音がどこからか聴こえて耳に心地よく、“いのち”を感じてうれしくなりました。

ところで、龍とはなんでしょうか。ここには書ききれませんが、龍とは「流」のことかな、と。
龍は冷たい大地深くに眠っていても、ひとたび目覚めると天に昇り、雲や霧や雨となって、作物をはじめとするいのちの恵みとなる、変化自在の性質を持つ水の神様でもあります。

暖かくなり雪が解ければ、冬ごもりしていた生き物が起き始め、さらにこの大地がいのちの恵みで潤うことでしょう。色とりどりに花咲く美しい春までもう少しです。

この記事を書いた人
定家亜由子
 
京都在住の日本画家。伝統画材にて花を描く。
高野山大本山寶壽院 襖絵奉納
白沙村荘 橋本関雪記念館 定家亜由子展等、個展多数。
画文集『美しいものを、美しく 定家亜由子の日本画の世界』(淡交社) 刊行。  
 

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