ここからしか見えない京都
  

龍に出会う京さんぽ 前編

2024年は「辰年」ということもあり、皆さんのお住まいの地域でも「龍」にまつわるスポットが話題となっているのではないでしょうか。神社やお寺が多い京都もまた例にもれず、身近に様々な龍と出会うことができます。前編と後編に別け、京都の龍スポットを3つずつご紹介したいと思います。

建仁寺 気軽にお会いできる壮大な2匹の龍

建仁寺

京都の繁華街である祇園に堂宇を並べる建仁寺。ひとたび境内に足を踏み入れると、界隈の喧騒がかき消されたかのように、禅寺の厳かな雰囲気が漂います。それでは最初の龍に出会いに行きましょう。

双龍図

法堂の天井に描かれたこちらの『双龍図』は、文字通り2匹の龍が描かれた、畳108枚分の大きさを誇る大作。建仁寺開創800年の年である平成14年(2002)に画家の小泉淳作氏の手によって奉納されました。にらみを利かせながらも、どこか愛嬌があるようにも見える「阿吽」の龍。お寺の方によると、「昨年末は、一般の方からも『今年の年賀状に使っても良いですか?』という問い合わせが数多くありました」とのこと。
天龍寺や相国寺、妙心寺など、京都には禅寺を中心に龍が描かれた天井画が多く残りますが、市街地に位置する上に、通常公開されていることもあり、最も気軽にお目にかかれる龍図であると言えるかもしれません。また、写真撮影ができるのも嬉しいポイントです。

龍安寺 “あの石庭”の前に、9匹の龍が舞い降りました

龍安寺

15の石からなる石庭があまりにも有名な臨済宗妙心寺派のお寺。2024年は、「古都京都の文化財」の1つとして、世界文化遺産に登録されて30周年のメモリアルイヤーとなりますが、昨年秋、石庭の正面に立つ方丈に、全40面からなる襖絵が完成しました。

雲龍図

作品を描いたのは、元首相である細川護熙(もりひろ)氏。政治家引退後は、絵画のみならず書や陶芸作品などの制作に意欲的に取り組んでいます。
京都では「竹の寺」の名で知られる地蔵院や、建仁寺の塔頭寺院である正伝永源院にも襖絵を奉納。細川勝元や頼之など、細川家に縁ある寺院に積極的に作品を残しています。

龍安寺の襖に描かれた龍の数は9であるものの、実はそこで表されているのは「1匹の龍」。全40面に描かれるのは、生まれたばかりの姿、勢いよく空を翔る盛んな姿、そして落ち着きと威厳に満ち溢れた姿…と、龍が変容していく過程なのです。現在公開されているのは32面。公開は3月31日(日)までとなるので、気になる方はお早めに。

本圀寺(ほんこくじ) 光り輝く黄金色の龍

本圀寺

神社やお寺を参拝していると、手を清める手水舎や建物の一部に龍の姿を見ることがあります。龍が水をつかさどる神様であることや、「火災除け」の意味がそこには含まれています。珍しい姿の龍がいらっしゃるのが、山科区にある日蓮宗のお寺、本圀寺です。

九頭龍銭洗弁財天

灯篭にまとわりつく、いかにもご利益がありそうな金色の龍! こちらで祀られるのは「九頭龍銭洗弁財天」という龍神様。九頭龍とは、日蓮宗で最も重要とされる経典「法華経」に描かれ、仏様を護る八大龍王の眷属(けんぞく)にして九番目の龍神様。
黄金色の見た目もヒントとなりますが、「銭洗(い)」と名がつくだけあって、金運上昇のご利益を授かれるそう。九頭龍により清められた水で小銭を清めると、金運に恵まれるだけでなく、厄もはらえるそう。清めた小銭を入れ、お守りのように持ち歩ける「浄財袋(700円)」をお寺の授与所でいただくこともできます。辰年の金運向上祈願にいかがでしょうか。

今回は建仁寺、龍安寺、本圀寺にで“はっきりと”目にすることができる龍をお届けしましたが、次回は一風変わった(?)をご紹介したいと思います。ぜひお楽しみに!

龍に護られた古都京都

BS11では、2月7日(水)のよる7時00分より、新年が明けて間もない辰年の2024年に注目のスポットや、冬の京都の楽しみ方をお届けする特別番組を放送。龍が棲むとされる「龍穴(りゅうけつ)」がのこる八坂神社や貴船神社、そして龍がつかさどるという「水」によって育まれた食文化などをご紹介します。どうぞお楽しみに!

【放送日時】
冬の京都2024~龍が棲まう千年の都~
2月7日(水)よる7時00分~8時30分
BS11(イレブン)にて放送

【出演】
池坊専宗(華道家・写真家)
平 祐奈(俳優)

制作著作:KBS京都 / BS11

この記事を書いた人
京都の特等席 編集部

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