ここからしか見えない京都
  

東寺で密教の世界と桜に酔う

新幹線が京都駅に到着する頃、南の車窓に見えるのが東寺の五重塔。“京都に着いた”ことが実感できるランドマーク的存在だ。東寺は約1200年前、平安京への遷都とともに国家鎮護のために創建された、現在唯一残る平安京の遺構。桓武天皇からこの寺を引き継いだ嵯峨天皇は、唐で新しい仏教を学んできた空海に東寺を託し、真言密教の根本道場となった。それを象徴するのが境内中央に位置する講堂で、堂内は大日如来像を中心とする21体の仏様による立体曼荼羅が表現されている(通年公開、有料)。

平安京や国家の鎮護のために建立された東寺

そして講堂の手前にある金堂は、796年(延暦15年)の創建時に最初に造営された東寺の本堂(通年公開、有料)。室町時代に焼失し、現在の建物は関ケ原の合戦後に完成したもの。桃山時代の代表的な建築様式で、内部には本尊の薬師如来が鎮座し、両脇に日光菩薩、月光菩薩が立つ。また境内の北西にあるのが御影堂。空海が造営工事を指揮しながら住んだ建物で、生前と同様にいまもなお、一の膳、二の膳、お茶を供える「生身(しょうじん)()」が毎朝行われている。

この季節、なんといっても見逃せないのが、五重塔をバックに華やかに枝を広げるベニシダレザクラ「不二(ふじ)桜」だろう。樹齢120年を超える大木で、しなやかな枝が風に揺られると舞を舞っているかのように美しい。また境内の随所にはソメイヨシノなども咲き誇り、東寺は花見の穴場になっている。4月17日までは「夜桜ライトアップ」として、金堂と講堂の夜間特別拝観を実施(1000円)。密教の神秘的な世界に触れながら、優美な夜桜に酔いしれてみたい。

五重塔と夜桜が調和する幻想的な景色はこの季節ならでは
可憐に咲いたソメイヨシノが境内を埋め尽くし、春はピンク一色に

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「桜の名所 世界遺産・東寺~1226年目の春~」
2022年4月11日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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