ここからしか見えない京都
  
東山三十六峰の最南端にある稲荷山。山内の神蹟(しんせき)やお塚の巡拝を「お山する」と呼ぶのだとか

霊峰・稲荷山で神々に出会う

“神の山”と地元で崇められる標高233メートルの稲荷山にある伏見稲荷大社は、全国に約3万社ある「お稲荷さん」の総本宮だ。創建は711年(和銅4年)、稲荷山の三つの峰に神を祀ったのが始まりと伝わる。古くから「衣食住ノ太祖ニシテ萬民豊楽ノ神霊ナリ」と崇敬され、五穀豊穣、商売繁昌、家内安全などのご利益で知られる。同社でもっとも有名な風景が千本鳥居だろう。江戸時代以降、参拝者が願いや祈りを込めて奉納したもので、朱塗りの鳥居がずらりと並ぶ光景は神秘的かつ圧巻だ。

「願いが通る(通った)」という参拝者の願いとお礼によって奉納された千本鳥居

神々が宿る「神奈備(かんなび)」とされる稲荷山は、平安時代から山内の社を2時間ほどかけて巡拝する「お山めぐり」が参拝の真骨頂といわれている。千本鳥居をくぐり、奥社奉拝所からさらに中腹に上ると現れるのが熊鷹大神の「熊鷹社」だ。ろうそくを献灯台に供えて願い事をし、さらに池のほとりで手を2回叩いて、こだまが近くから聞こえたら、願い事が早く叶い、遠くだと遅くなるという言い伝えがあるという。

勝負の神様といわれる熊鷹社。向かいの茶屋でろうそくを購入すると火打ち石で清めてくれる 画像素材:PIXTA

そこから山上へ進めば三ツ辻、さらに三徳大神を祀る「三徳社」、山頂への上り・下りの道がある四ツ辻に出る。ここからの眺めは素晴らしく、晴れの日は京都の南側を広く見渡すことができる。四ツ辻にある茶屋「にしむら亭」では、休憩にちょうどよい甘味や、きつねうどん、いなり寿司などが味わえる。

4つの道が交差する四ツ辻は、京都の南側を一望できる絶景スポット 画像素材:PIXTA

四ツ辻から山頂に向かうと、途中には眼にご利益があるという「眼力社」、無病息災のご利益があるといわれる「薬力社」、喉にご利益があるという「おせき社」のほか、古くから鉄工の神さまとして信仰を集める「御劔(みつるぎ)社」などがある。山頂近くをゆっくりとめぐりながら、様々な神様のご利益にあやかりたい。

制作著作:KBS京都 / BS11

【放送時間】
京都浪漫 悠久の物語
「伏見稲荷大社のすべて~神々の鎮まる聖域を巡る~」
2023年5月15日(月) よる8時~8時53分
BS11(イレブン)にて放送

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